EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(127)

AIHA after allogeneic SCT
(同種造血細胞移植後の自己免疫性溶血性貧血)

 同種造血細胞移植後の自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の発病頻度と危険因子について解析。 成人272例の同種移植後に12例がAIHAを発症した。 3年累積発病率は4.44%。 移植からAIHA診断までの中央値は147日。 8例が寒冷凝集素症、4例が温式凝集素症であった。
 多変量解析による危険因子として 1.非血縁ドナ-からの移植(P=0.02,文献Fig.1)、 2.慢性GVHDの合併,extensive type(P=0.01、文献Fig.2)である。 治療はステロイド投与。 最近ではRituximabが投与されている。 2例が生存している。
結論:上記の発病危険因子が認められたが、症例数が12例と少なく、さらに検討が必要。 死亡原因は感染症とGVHDが多く、AIHAそのものが死因となることはない。

コメント:貴重な報告で、CMV感染と発病の関連についても未解決の点がある。

今後の検討に期待したい。

文献1. Sanz J et al.  Autoimmune hemolytic anemia following allogeneic hematopoietic stem cell transplantation in adult patients. Bone Marrow Transplant. 2007;39 :555-561.