EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(132)

Importance of CD34 positive cells in CBSCT
(CD34陽性細胞と臍帯血移植)

 臍帯血を造血細胞移植の細胞源として用いる利点は1.申し込んでから移植までの時間が骨髄バンクよりも短縮できる、2.HLA不一致でも移植成績に影響しない、3.移植片対宿主病(GVHD)頻度が低い等です。一方、欠点は成人へ提供される場合に細胞数が少なければ移植後の細胞回復が遅延する点です。そこで、移植時の臍帯血細胞数が生着に及ぼす影響について検討されたフランスからの論文を紹介します。

 移植を受けた42例の解凍後の臍帯血細胞数は平均5.3x10E7/kg、CD34陽性細胞は1.4x10E5/kgでした。細胞のviabilityの中央値は78%と60%です。

結果:好中球や血小板の移植後の回復は解凍後に輸注されたCD34陽性細胞数と強い相関が認められました。

コメント:さい帯血移植における生着遅延の問題点が解明される事で、
      今後のさい帯血利用に好影響を及ぼすものと予想されます。


文献:Lemarie C et al. CD34+ progenitors are reproducibly recoverd in thawed unbilical grafts, and positively influence haematopietic reconstitution after transplantation. Bone Marrow Transplant 2007; 39: 453-460.