EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(194)

SCT against pancreatic cancer
(膵臓がんへのミニ移植)

 難治性とされる膵臓がんへの免疫療法としてのミニ移植研究。 日本からの報告。  22例の膵がん症例に対してフルダラビンを基本とした前処置にて造血細胞移植を施行。 治療効果を5例に認めました。 Complete responseは1例、partial2例そしてminor responseが2例。 輸注CD34細胞数が少なく、移植前のPS(performance status)が不良の症例では生存期間が短く、慢性GVHD合併例では非合併例よりも生存期間が長い傾向を示しました。 生存の中央値はわずかに139日。 死因は原疾患の進行によるものがほとんどでした。

結論:5症例では膵がんに対する造血細胞移植後の抗腫瘍効果がみられました。  しかし、長期持続する効果が確認できていません。 今後は細胞治療としての免疫学的効果を増強させる機序の解明が待たれます。

コメント:少数例ですが医師主導型の画期的な臨床研究報告です。

文献:Kanda Y et al. Allo-SCt using reduced-intensity conditioning against advanced pancreatic cancer: a Japanese survey.  Bone Marrow Transplant 2008; 42:99-103.