EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(228)

-Fasciitis and myositis after allogeneic SCT-
(造血細胞移植後の慢性GVHDによる筋関連合併症)

 造血細胞移植後の慢性GVHDが引き起こす筋関連の合併症には筋膜炎(fasciitis)と筋炎(myositis)があります。 これは日常生活の活動制限を伴うので移植後の生活の質(QOL)にとって重要な問題です。 日本人症例における上記合併症の危険因子解析を後方視的に行いました。 解析対象は1994年から2005年までに関東地方の15施設で移植を受け、90日以上生存した1967例です。 移植からその合併症発病までの中央値はそれぞれ、991日と660日です。 8例が筋膜炎、9例に筋炎合併がみられました。 明らかになった危険因子は筋膜炎においては末梢血幹細胞移植です。 筋炎の危険因子は抽出できませんでした。 筋炎では治療反応性が良いことも知られているため、生検による早期診断と迅速な治療が重要と考えられます。

コメント:EBM227の治療法も参考になると思われます。

文献:Oda K. et al. Fasciitis and myositis: an analysis of muscle-related complications caused by chronic GVHD after Allo-SCT. Bone Marrow Transplant 2008; advance online publication.