EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(230)

-Impact of graft composition after haploidentical HCT-

(HLA半合致移植におけるCD4/8)

 造血器悪性腫瘍で移植適応があり、HLA一致の血縁または非血縁ドナ-が見つからない141例に対して施行されたHLA半合致移植例での細胞表面形質の解析。

 対象:ドナ-はすべてHLA不一致の血縁者(親子、兄弟間)。年齢の中央値はドナ-が41歳、レシピエントは25歳。移植に用いた細胞はG-CSFで動員した末梢血または骨髄液。生着後に移植片中の細胞表面形質(CD4,CD8, CD34など)をflow- cytometryにて測定。

 結果:多変量解析の結果、CD34陽性細胞数が多ければ血小板生着が良好。一方、CD4/8が高いとⅡからⅣ度の急性GVHD合併率は有意に高く(Fig 2,a)、かつ再発しやすい傾向があり(Fig 2,b)、さらに、移植関連死亡率が有意に高いこと(Fig 2,c)が示されました。生存率では観察期間の中央値がおよそ20ヵ月での2年無病生存率が71%と良好でした。G-CSFで動員された骨髄液に限定してCD4/8を1.16以上とそれ未満の2群に分けて無病生存率を解析するとCD4/8低値群で有意に良好でした(Fig 3,a)。

結論:G-CSFで動員された骨髄液のCD4/8が低いと生存率が良好。

コメント:生存率向上のためにCD4/8は大切な因子と考えられます。

文献:Luo X-H. et al., The impact of graft composition on clinical outcomes in unmanipulated HLA-mismatched/haploidentical hematopoietic SCT.Bone Marrow Transplant 2008  Advance on line publication.