EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(245)

-Tandem ASCT or ASCT/Allo-RIC-
(多発性骨髄腫への移植:比較試験)

 スペインからのBrief Report.です。
 対象は70歳以下の新規診断の未治療多発性骨髄腫。
 6コ-スの化学療法後に752例が一回目の自家移植を受け、寛解またはそれに近い状態を得られなかった110例が参加登録。
 HLA一致血縁ドナ-の有無で2群に分けた(genetic randomization)。
 つまり、85例が2度の自家移植群(Tandem ASCT)、
 25例は自家移植後同種ミニ移植群(ASCT/Allo-RIC)。
 2群の背景に予後因子など有意差を認めず。
 追跡期間の中央値が5.2年で、
 5年無進行生存率(PFS:progression free survival)が下表の様にTandem ASCT:34.9%、vs  ASCT/Allo-RIC:61%と有意差はありません(P=0.08)。
 移植関連死亡率(TRM)はそれぞれ5%、16%でした(P=0.09)。



結論:ASCT/Allo-RIC群は5年予想PFSが2年以後に平坦化し、期待の持てる成績です(文献のFig 1 A)。しかし、まだ移植関連死亡率が高く、さらなる改善が必要です。

コメント:追試の報告が待たれます。

文献:Rosinol L et al. A prospective PETHEMA study of tandem autologous transplantation versus autograft followed by reduced-intensity conditioning allogeneic transplantation in newly diagnosed multiple myeloma. Blood  2008;112:3591-3593.