EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(254)

-Tandem auto/allo HCT-

(アメリカ血液学会抄録・その他から:多発性骨髄腫への移植)

 北米で進行中のBMT-CTN 0102 trialはEBM246(フランス)、EBM116(イタリア)そしてEBM245(スペイン)の3本の報告に結論を出すのでは?と期待されています。 それは、新規の多発性骨髄腫例に対して自家移植後の同種ミニ移植の有用性についての前向き試験だからです。
 今年のアメリカ血液学会(文献1)ではシアトルから年齢の中央値が51歳、73例の多発性骨髄腫例を自家移植後に同種移植施行し6.4年間追跡観察し、5年全生存率が69%、無病進行生存率は37%という報告があります。
 また、来年2月に札幌で開催される日本造血細胞移植学会抄録集(文献2)では初診時からupfrontで自家/同種移植を施行した20例と自家移植後の再発例に同種移植施行した5例、計25例の自家+同種移植5年全生存率は74.5%、他方で同種移植だけの17例の5年全生存率は43.4%。ただし、自家移植後、再発例に同種移植を施行しても有用性は低いとのこと。 なお、ミニ移植50.4%、フル移植46.7%と前処置別の5年全生存率において有意差は認められません。 upfrontでの自家/同種移植が有用です。

コメント:移植により多発性骨髄腫が治せるようになる事に期待。

文献1.:Rotta M et al.  Tandem auto/allo HCT for newly diagnosed multiple myeloma patients. Abstract # 1130 appears in Blood. volume112: 2008.

文献2.:中世古知昭 他 多発性骨髄腫(MM)に対する同種造血細胞移植の治療成績-関東造血幹細胞移植共同研究グル-プ(KSGCT)における後方視的解析- 第31回日本造血細胞移植学会抄録集 WS1-3-2、180ペ-ジ