EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(267)

-Thyroid function after HCT in children-

(造血細胞移植後の甲状腺機能-30年の追跡)

 造血細胞移植をうけた時の年齢が18歳以下の791名の追跡調査。
Brief reportです。シアトル(Fred Hutchinson Cancer Research Center)から。
甲状腺機能異常は237名、30%にみられた。その中で機能低下症が9割。
多変量解析によると甲状腺機能異常の危険因子は0歳から9歳の間に造血細胞移植を受けたこと。
前処置ではBU+TBI、TBI単独,BU+CYそしてCY単独の順で甲状腺機能異常を来しやすい。
甲状腺腫瘍は移植後9.9年(中央値)で発現、13例が悪性、5例は良性。18例すべてはTBI(全身放射線照射)の前処置を受けた症例。

結論:小児科領域の造血細胞移植は生涯にわたり甲状腺機能の追跡が必要。

コメント:移植治療前から移植後の甲状腺機能異常が起こりうるという説明が必要です。

文献:Sanders EJ et al. Thyroid function following hematopoietic cell transplantation in children:30 years’ experience. Blood. 2009;113:306-308