EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(281)

-Delay in B-lymphocyte recovery following rituximab early post-HSCT-
(リツキサン投与後のBリンパ球回復遅延)

 EBV関連移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)は移植後2ヵ月頃の重篤な合併症のひとつです。 とくに、ATG治療やCD3モノクロ-ナル抗体治療後に非血縁またはHLAミスマッチドナ-から移植(in vitro T細胞除去)するとPTLD頻度は25%と高い事が知られ、従来の抗ウイルス剤、免疫抑制剤そして化学療法などの治療では80%の死亡率です。 造血細胞移植を受けた小児101例中6例がPTLDを合併し、リツキサン投与(まだ認可されていない)で治療した報告。 リツキサン投与により、EBウイルスは9日から92日で消失し(中央値19日)、移植後538日から1546日生存中。 1例はPTLD寛解後の移植後149日目に肺アスペルギルス症で死亡。 1546日生存の1例は低ガンマグロブリン血症が3年以上継続し、stem cell boostsを2回追加した。 下図はBリンパ球回復までの日数比較。



結論:リツキサンはPTLDの救命的治療法であるが、B細胞の回復遅延の原因となりやすい。

コメント:臨床研究の続報を待ちたい。

文献: Masjosthusmann K et al. Delay in B-lymphocyte recovery and function following rituximab for EBV-associated lymphoproliferative disease early post-allogeneic hematopoietic SCT. Bone Marrow Transplant 2009; 43: 679–684