EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(290)

-Prophylactic i.v. IgGs-

(免疫グロブリン製剤の有効性は?)

 造血細胞移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染対策としての免疫グロブリン投与の有効性を検証した。

対象:投与対象は以下の項目を一つでも有する症例。
 ①IgG<400mg/dl
 ②NK細胞数<100/μl
 ③CD4細胞数<100/μl
 ④急性または慢性GVHD合併例
Primary endpointはCMV感染累積頻度。
CMV感染はpp65抗原陽性またはPCR陽性と定義。

結果: 以下のように2群間に統計学的有意差はない。

投与群
(44例)

コントロール群
(35例)

CMV感染累積頻度

43%

31%

CMV病

5%

9%



考察:欧州では移植施設の55%が免疫グロブリン製剤の投与を移植後に行っている。 従来のエビデンスのもとに90日間は認可されているが、今回の検討では予防的投与は推奨されないという結論に達した。

コメント:この研究はdiscussionにも触れられていたが、pharmaco-economic aspectsからも貴重である。

文献:Schmidt-Hieber M et al.Prophylactic i.v.Igs in patients with a high risk for CMV after allo-SCT. Bone Marrow Transplant 2009;44:185-192.