EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(330)

-Association between adiponectin and chronic GVHD-
(アデイポネクチンと慢性GVHD)

目的:アデイポネクチンと慢性GVHDの後方視的検討

対象:移植後6ヵ月以上生存した34例を慢性GVHDの有無で2群に分けて検討。 26例の健康成人をコントロール群とした。

結果:既に性別とBMI(Body mass index)はアデイポネクチンとの関連が明らかにされている。 アデイポネクチン値は女性で高値、BMIとは逆相関がある。
 多線量解析(multiple regression analysis)でも
 1.女性
 2..ステロイド投与
 3.慢性GVHD
では重症度に応じて有意に高値であった。

考察:アデイポネクチンはリウマチや自己免疫性疾患で高値となりIL-6,IL-8など炎症性サイトカインを増加させることは明らかにされている。 In vitroではTNF-α、IL1-βを抑制する事も指摘され血管炎症に対する抑制効果もある。 慢性GVHD重症度とアデイポネクチン値の関係を始めて指摘した報告と言える。
アデイポネクチンが果たす役割について今後の解明が待たれる。


コメント:アデイポネクチンが炎症起因性、炎症の抑制という多面性を持つ点が興味深い。

文献. Nakasone H et al. Association between serum high-molecular-weight adiponectin level and the severity of chronic graft-versus-host disease in allogeneic stem cell transplantation recipients Blood 2011 117:3469-3472;